3月3日ひな祭りに行われた、ビジネス研究科の同窓会での安藤教授の講演。

働き方改革が苦戦している中で、これをシステム思考で捉えた内容。

■ 働き方改革の苦戦

「働き方改革」の目的は労働生産性を上げることで、労働生産性=付加価値/労働投入量で表される。であれば、労働生産性を上げるには、①付加価値(分母)を増やす、②労働投入量(分子)を減らす、③付加価値を上げ、労働投入量を減らすの3つの方法があり、理想は③である。

それに対し、現状は労働投入量の削減がメインとなっており、数々の問題が起こっている。例えば、労働投入量を減らしても業務が減らない、むしろ増えている、システムを取り入れても、企業にとってはコスト増、使う人たちにとっても労働投入量の削減に直結しない。

これってBPRとか成果主義の導入とか、どっかで見た風景、一生懸命やって、お金をかけて、疲れてでもその効果が実感できないといった、既視感、諦めが生まれつつある。

■ 育児期の女性のアンケート調査

働く育児期の女性の特徴は3つ。 ①ケア責任を果たすため労働投入量が減少 ②女性(Minority)の視点からの提案が付加価値向上に結び付く ③今後増える介護などケア責任を抱えた働き手への対応に役立つ

アンケート対象

  • ケア責任(子育て)が生じて、一旦離職しその後就業した女性
  • ケア責任(子育て)が生じたが就業継続した女性

【ケア責任(子育て)が生じて、一旦離職しその後就業した女性の傾向】

・制度を利用しなかった人がなんと70%で、最初から周りの環境などを見て、両立が難しいと自分で判断し離職する傾向が強い

・現在の仕事は、自営、フリーランス 翻訳 Webサイト構築、ピアノ教室など裁量が効く、残業なし、人間関係が良い、自宅から近いといった傾向がある。

以前に比べ、仕事とプライベートのやりがいが上がっている。しかし彼女たちは元々働くことに関しては前向きで、以前の職場でも仕事も楽しかったという人が多い。しかしケア責任を抱え自分が少ない労働投入量で働くことになった時、その職場での未来が描けなくなった。

【ケア責任(子育て)が生じたが就業継続した女性】

・時短、残業なし、出張はしないなど以前と働き方を変えて就業継続。仕事の内容が変わったり雇用形態が変わった場合もある。

・支えてくれるものは自分の心持ち、配偶者の応援、親のサポート、上司の心理的サポート

・しかし①の人と比べるとキャリアの展望が描けず、適切な評価されないケースもあり、やりがいが落ちている。その原因の一旦は、以前と比べて7~8割になった労働投入量の減少。

 

■ナドラーモデルを使って考える

アンケート結果から、いずれも労働投入量減少が影響を与えていることが分かるが、今後は労働投入量の減少を前提で考える必要がある

今何がおこっているか?

ナドラーモデルで検証すると『人起点の不整合』が起こっている。人が変化しているのに、公式組織(制度、評価など)、非公式組織(社風、企業文化など)、業務がそれに対応できない。

先ず、手を付けるべきは『業務』。業務や施策の遂行が目的化しているため、『何のためにこれを行うのか』という目的を明確にする。目的が明確になれば、手段はいろいろある。場所の自由(在宅などモバイルワーク)、時間の自由(フレックス、コアタイムなど)、チーム制など選択肢は多様。

でも、これだけだと組織が混乱するので、次は、公式組織に手をつける。例えば、評価方法を労働投入量から生産性へ変える、企業理念の見直しなど、そして最後に最難関の非公式組織の変革に手をつける。

大切なのは、目的を明確にして常に1ランク上を見据えて取り組むこと 手段の目的化から資源の最適配分をめざすこと 常にシステム(組織)全体を見るシステム思考を持つこと。